
2.1.3 小型試験片製作要領
(1)母材切欠き試験片
試験片は、両側切欠きを有する板厚10mm(原厚)の板状試験片であり、板幅は各試験機の都合により、20〜60?に変化させた。その場合、いずれも応力集中係数Kt1)が2.0になるように切欠きを加工した。塗装試験片は、塗装前に20日間の水散布を伴う大気曝露を行なった。代表的な試験片形状を図2.1.3−1に示す。
(2)突合せ溶接継手試験片
突合せ溶接(MAG溶接)試験片の代表的な形状を図2.1.3−2に示す。なお、塗装材に関しては塗装前に10日間の散水大気中曝露を行なった。
(3)角回し溶接継手試験片
角回し溶接(CO2半自動溶接)試験片の代表的な形状を図2.1.3−3に示す。
2.1.4 塗装方法
塗装前に所定の大気曝露(水散布)をした後、以下の要領で下地処理および塗装を行なった。下地処理は、ディスクサンダー、サンドペーパー及び手ブラシを用い、母材(溶接部以外)についてはJSRA IRPt−3、溶接継手部についてはJSRA IHPt−2のグレードで表面処理を行なった。
塗装は、標準塗料としてタールエポキシ塗料(ビスコンHB−200黒)を用い、スプレーガンにより所定の膜厚まで行われた。なお、一部に変性エポキシ塗料(ビスコンHB・NT−L白)を用いた。塗装後、全試験片について膜厚計測を行なった。
2.1.5 中間型試験片製作方法
構造モデル(中型試験片)の応力集中部の構造要素を比較的小型の試験片で再現するため製作された。溶接方法は、角回し溶接継手と同じとした。試験片形状を図2.1.5−1に示す。
2.1.6 標準試験条件
腐食疲労試験は、実験装置等は各研究機関により異なるものの、次の標準条件を設定し実施した。環境は、人工海水(pH8.2、アクアマリン)循環式とし、流速は記録する。溶存酸楽は、腐食液槽で空気バブル等により飽和とする。温度は海水温度を±1℃程度で制御(25、40、60℃を標準)することにより行なう。負荷は、繰返し速度を0.17Hz、正弦波、軸荷重での応力比0.1を標準とした。さらに、各々の方法でNc(き裂発生寿命)を計測する。

図2.1.3−1 代表的な母材切欠き試験片形状

図2.1.3−2 代表的な突合せ溶接継手試験片
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